ひたり火/キメラ
まるで偏執な物体が希少に向かいあい
執拗に岸辺を凌駕しきれないでいる
“失う”とは時になんと甘美な転生なのだろう
在るべき場所にモノが無くなる便宜上の不備
モノローグの反響が外界の冷旋に浚われたような失念
肌で覚えたシンパシーから
その琥珀を埋め尽くす 風光の彩よ
凍りついた警醒と溜め息は
心の触れあいからのみ賜る 柔らかき球体枠に
いつしか枯れた吐息を吹きかえし
物憂げな窓辺 焦点を失った終焉の唖響
“とうめいが触れてくるのが解るか?”
銀河軌道の亡き半世紀を媒介し 乱れとぶ蒼羅漢
慈愛のヴェール 妖艶は地平の尺度に犯され
のち刹那に狂絶したままの幻暈の汽笛が
かすめに絶叫している
様々に流れだした 宵のひたり火
かえれない祭囃子
永劫を纏い
世界の側線から
いま
いちじるしきおもかげに砕けよ
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