ブルードロップ/青山スイ
 
このアパートに住み着いている猫の話では
世界はすでに終わってしまったらしい
猫は目を細めて悲しそうにしているが
世界がいつ始まったのかまでは教えてくれなかった

仕方がないさ、と猫は言う
繰り返されるのは単純な結果の羅列なんだ、と
猫は寂しそうに遠くを見つめ
一度だけニャーと鳴いた

僕が頭を撫でようとすると
ヨセヤイ、と言って
そっと僕の腕の中に潜り込んだ
きっとみんな同じなんだ

見上げる空は
青すぎて、なんだか偽物みたいに見えた
猫は僕の顔を見上げ
だから言ったじゃないか、と呟いた
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