小詩集【招かれざる客をあばく夕べの招待状】/千波 一也
 
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一、ヘヴンズ・ヒル

枯れることなく
花の咲きみだれても
それは
開くことをしない
閉じられたままの
かなしみの
すそ

風が
つねに優しいならば
怯えることも
すさぶこともないけれど
こおれるものを
溶かしうる熱量を
おぼえることもない

風は
通り道を
易しく拓きつづけて
はげしく
或いは
ささやかに
それはそれは自由に
いたみを
残す

月そのものに
おそらく翳りはない
手がかりならば
そう
異国への旅を
よろこべばいい
思い当たる横顔の数だけ
純粋さは疑われるだろう
ほかならぬ
おのれに


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