水底の杖/atsuchan69
 
湖面に幽かな波紋をのこして沈む
かたちなき夜の杖が
 ことばもなく

彷徨う声の虚しさに散らばる
 沈黙の
  ただ拡がるばかりの濡羽色の森は、
   音もなくざわめき
    漂う、
     静寂なけわいを破る 
  命の「鼓動。

    生きる、
   そのことが黒い祭司たちの韻律を壊し、
    酷く怪訝なカオで覗かれる、
     荒らな小部屋。

        「あはあ、あはあ
          と、剥きだしの、
           反復する声・・・・
            淫らな褥(しとね)に

           情欲の吐息に
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