三つの街?浮遊する断片/前田ふむふむ
ける空に、滴る、
赤い血液を凍らせる。
汚れた黒衣をはおる、夥しい敬虔な姿態は、
沈黙を固めて、
痩せた市場の賑わいを、散らして、
ふたつの大河の中原をわたる、砂流の胸に
陰鬱な経験を埋める。
葬送を終えた鳥たちが、街を渡ってゆく。
燃え尽きた河岸に沈む、涙を、
女たちは拾いあつめる。
裂けた白い思想に、縛られて、
男たちは、茫漠とした迷路を走る。
流れるかなしみのみずの支流を、束ねた、
信仰の回廊は、深く傷ついた砂塵の海原をうるおして、
バスラの風貌は、
いつまでも、痛んだ眠る祖国を描く。
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