秒針とのコンポジション/前方後円墳
(?)
夜の路地裏で
また一歩
靴音が連れ去られていくのを見ていました
静寂の胎で
わたしは叫びにも満たないのです
壁にもたれて煙草を吸いながら遺された足跡に浮いた灰汁を眺めていたのですが次々と知らない人が踏みつけて次々次々踏みつけられて次から次へと交わるのです
知らない人と
交わるのです
(?)
夜に消える
影の足音を聞いたことはありません
さよならを言ったこともありません
ただいつものように
夜明け跡に落ちている
今日の影を靴底に貼り付けて
影具合を確かめてみると
「よくお似合い」
自嘲気味の笑みが絶えませんでした
夜明け前
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