ここにある空/霜天
 
振り向いた先が
届かない思い出だったなら
胸に少しの痛みを
感じることでしょう


昔のノートを整理していると
ページに挟まってあなたがいました
ピントの合っていないぼやけた横顔でも
今もあなたとわかります

あなたの後ろは
これ以上無い 青


止まったままの歯車が
何処かでかたりと動きだす
今更回っても仕方がないので
手を添えてまた止める

指が挟まって痛かった
それは言えないままに空に投げた
漂うだけの想いのようで
いつか降ってこないかと
私は見上げてしまうのです


あなたの後ろは
何時でも 青


白と黒とのストロボが
あの日の空を切り取ったように
ここにある空は
今日もこんなに青いのです
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