似顔絵/
たもつ
君の笑顔は椅子に似ていて
笑うと誰もが顔に座りたがる
散歩途中のお年寄りや
旅に疲れた旅人
アイスキャンディーを持っている人
ただ夕日を見ているだけの人
誰かが座ると嬉しそうにするものだから
君の笑顔はますます椅子そっくりになる
やがて行列ができて
僕は並んでいる人に整理券を配る
キッチンから夕食の支度をする君の鼻歌が聞こえる
きっと顔中を椅子いっぱいにしているのだろう
その間、僕は君の似顔絵を描くけれど
いつもそれは淋しくなってしまう
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