土星から放つ紙飛行機/山崎 風雅
 
 
 街灯ともる裏通りを一人で歩けば
 時折窓越しに明かりが灯る部屋がある
 それぞれの生き様
 それぞれのステージ
 
 未来に向けて蓄える夜の宴
 近づいてはならぬサンクチュアリ
 後戻りできないのが世の掟なら
 アクセルを全開にして高速に飛び乗ろう

 バラバラのベクトルは
 僕の脳髄を通過し
 やがて広い海原に放出される

 見てはならぬものを見てしまった悲哀が
 この胸に刺さっているのだから
 せめて刹那の快楽よ我が身に来れ

 昼と夜をつなぐ綱渡り
 いつも胸に添えているローズの香りの思い出
 ただ守るだけで一日が過ぎて狼狽
 見果てぬ夢は夢のままで

 心無き者にも宿る魂は
 そんなに僕らと変らぬはず
 目に映る景色がちょっと斜めに見えるだけ

 つながる糸の先に誰が待ってる
 今日も届かなかった銀色の約束
 輝く夜空は僕を異次元に誘(いざ)なう

 始発の電車が走るころ
 僕は土星の輪のに乗りながら
 紙飛行機を銀河にとばしてるんだろうな


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