/実夜
 
空気が堅くなってきた

橙の夕暮れは和らいで

ちりりと妬かれることはなく

浅冷えする温度



羽の端でさらりと

腕に触れてゆく

時計の中に針が一つしかなくなる時

もう窓は銀の月



長い黒髪は

漆黒の宙色に同化する

曖昧になる観を

ついに失う



横たえた軆は

柔らかな絹に

包まれて

地階に滑り落つ
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