野原/
あおば
せて
帽子を被り
座敷童は
見えない鞄を肩に
裏口から路地を抜ける
風に跨って
何処かに飛んだ
横町の明るい午後
なにも分からないふりをして
黙って下を向いて
ぱくぱく御飯を頂いた
黒いカラスの影が
急降下して
隣家の塀を真っ二つにした
手抜き工事のブロック塀は
ガラガラと脆く崩れた
風通しの良くなった庭に
カラスが三羽
偉そうに突っ立って
見たことのある
野原の虚像が見えた。
戻る
編
削
Point
(11)