薬理記録 10/19・20/六崎杏介
 
り、世界の夢に埋没するのを待っている。

PM11:09
ペン先から、微睡みが流れ出てゆく。折り畳んだ便箋の隙間から漏れた夢魔の呪詛も、畳の目に吸い込まれた。
化学製の覚醒を、甘い弛緩が包んでいる。星を一つ、夢魔の背中に落としてやる。
私の頭蓋の中の、番いの、蜂鳥が、仲睦まじく寄り添って眠っている。そんな気がした。
難破したボトルシップが、何処にも逃げられぬ事を悟って炎上し、火炎瓶になる。
そして死ぬ。TVは新しい、世界の夢を獲得する。死者に、遺跡に夢が積もり、指も動かない。
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