クレア/キメラ
もう一度ひとみをひらいた
ぼんやり ひかりの様子など
きにしながら虚空に憩うなら
はくせつの霊峰からりんごをおとした
いつかの風がかえる
美しい絵画のような木洩れ日
花通りで泣きながら 掌をかざすなら
たちまち走馬灯の追憶はめぐる
媒介者の重い白日
あかるい窓に青い鳥はうたい
うなだれながら死を考えた世界の隣人
きづかせない真綿のフェザー
内在のシンフォニーを散らす泡沫
なつがあつさをうしなった
あのラムゼスの丘で
死ぬと独りできめたよる
あなたに熱がもうとどかない
それならば
せめて凍らせてほしいと願った
ハッカの溜め息を憂愁にふ
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