蚕食の図/よつやとうじ
常にあかく
トマトを塗る
あついあつい日々が続き
想い出ゼリーが
ひんやり揺れる
縁側の空気は
うとうとと流れる
小さな匙ですくうと
淡い成分が口の
中で優しいのに
迷いスズメバチが
黄桃に停まる頃
あなたはもうせんごけに
虻を与え
その瞬間に池の
鯉はゆっくりと
宙に浮き上がり
またゆっくり
と消え失せた
わたしはその音を
目で探したけれど
何かが素早く
持ち去った後で
どれだけ待っても
見つからない
そんな折りもまた
頬をつたいぽつり落ち
辿り着いた音で
我に帰る
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