回転寿司と詩人/新守山ダダマ
私にとって最大の敵は
近所の回転寿司屋である
あの店はいつもネタが豊富だから
私は妬んでいる
だが私はこの妬みをネタにして
あの店に倍返ししてやろうと思っている
あの店は「新鮮な海の幸」とのたまうが
所詮はいいとこ取りでしかない
海にはヘドロとか水銀とかダイオキシンとか
幸じゃない不幸(ふさち)もあるのに
あいつは真実を伝えない、どこかの政府と一緒だ
私は違う
私は人生という海の中で
どんな出来事もネタにする
いい事も悪い事も 全てをおいしくするのだ
いかなる場面でも声を上げる、生き続ける
これが詩人の使命だ
私はあの店の寿司よりも深い味わいのある詩で
あの店の寿司よりも多くの人を喜ばせたい
ああ 私をここまで奮い立たせる回転寿司屋よ
おまえは何て素晴らしいんだ
おまえはまさに好敵手と書いてライヴァルだ
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