雨の環七通り/青色銀河団
五人の天から降りてきた人々の記憶が宿る―
するとぼくが目にしたあの水滴は
決して雨なんかじゃなかったはずだ。
思うに
歩く人それぞれに
植物の属性が宿っている。
地球は鉱物でできた惑星だ。
そこで生きてゆく為に、
人はそれぞれ
地に根をはって
生きていかなければならない。
あのピンクのコートを
羽織った女性は
桜の属性をもつひと、
すぐ脇を足早に過ぎてゆく会社員は
白樺の属性をもった人だ。
老木やら若木、
種類は様々だ。
あそこを駆けてゆく子供の
袖口からもきっとつややかな若葉が
顔をのぞかせ雨に濡れているだろう。
さきほどのアメフラシは
雨の煙で
輪郭が恐ろしく
おぼろげになってきて
ついには消えてしまったようだ
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