雨の環七通り/青色銀河団
雨の環七通りを走るクルマには
ごく稀に、
雨ふらしが乗っている。
先日、特大のR器具を買いに、
横断歩道を渡ろうとしたとき目に飛び込んできたのが、
まさしく雨ふらしであった。
クルマの窓ガラス越しに見たそれは、
七色の髪をはやし、
その一本一本から絶えず水滴を撒き散らしていた。
昔小学校の理科の時間に、
雨は、空にある記憶の断片ひとつひとつに水蒸気が付着して、
それ自身の郷愁の重さに耐え切れなくなったとき
地上まで落ちて来るんだと、
天と地とのその遥かな距離の
はるかな切なさを延々と
落ちて来るんだと学んだ。
―だからぼくらが持つ傘には少なくとも
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