はしごの上 〜親父と息子〜 /
服部 剛
落ちないように気をつけなよ〜 」
「 職場の図書館じゃ
もっと高いはしごに乗ってるから
大丈夫だよ 」
ばっさ ばっさ と降る枝を
ほうきで掃いてかき集め
ゴミ袋に放り込む
築30年
くたびれ始めたわが家の背後
低い山々の間に陽は沈み
( まだまだ親父の足元か・・・
とはしごの下でつぶやくと
電信柱の上にとまったカラスが
ひと声鳴いた
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