はるるるる/前方後円墳
春を燃やせ
はにかんだ木漏れ日から
涼しげなふりをする風から
蒔き散らした種の芽吹きを妄想している
八重咲き紅梅一輪をちぎり
呆けたアスファルトで踏みにじれば
一滴の紅は血となり火と人と日となり
ひとつながりに黒ずんだ屍体へと渉るのだ
その
狂わせる春を燃やせ
待っているぞ
ひらかれた口に
響きをなくした声が放り込まれ
ひるがえった嘔吐から痙攣となり
滞っている背骨で震えるのを
待っている ぞ
さあ
燃やせ
春燃やせ燃やせ
その焼け跡に
芽吹くものを見つけたら
ほうら
だれもいない部屋の片隅で
るるる
笑い声を回せ
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