昔々、日々は、/新谷みふゆ
あない
泣き虫な女の子 交わうところの生温く淋しい温度を
愛と名付けたならきみも泪を流すのだろうか
昔々、日々は葡萄狩りだった
葡萄はとてもいい香りで あまく 酸っぱい味がした
コカ・コーラはちょっと薬の匂い
それでも脚を投げ出せば だんだんと肩甲骨が尖ってくる
きれいな背中に鳥が巣を作る
泣き虫な女の子 少し話をしよう
きみの透明な呼吸には森や湖や草原が沈んでいる
くちびるを重ね合わせれば
小鹿のような無邪気な気持ちになるだろう?
泣き虫な女の子 葡萄狩りをして遊ぶなら鳥を真似て遊ぼう
きみとぼくの放熱も虹のような線を描くだろうか
日々は葡萄狩りだった・・・
昔々、の話さ
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