silent moon/
いとう
うことはなかった
今ではちゃんと彼女もできて
街へ出る回数も減ってしまったけれど
彼女がいたことと
彼女の絶妙な笑顔は
彼女が言ったとおり
残された僕の言葉が証拠になっている
そして
月を見てからの僕の言葉が
ここに残っていないことは
僕と彼女が
手帳を使わずに会話していたことは
彼女が僕に魔法をかけた唯一の
証拠なのかもしれない
まだ魔法がかかっている唯一の
証拠なのかもしれない
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