森の中で/ネコ助
る風景、萌えたつ草木。
知らぬ間に交わる二つの山道。
その道に小さく見えた、懐かしい人影。
期待の動悸と開く瞳孔。
いつか周りは花の草原になり、春のにおいの風が走った。
やっぱり僕たちはそこで抱き合い、転げ回った。
寝ころんで見上げる底のない大空。
青空が映り込んだ目を見つめ合い、そして
一番大好きな人の名を打ち明けあい、
誰と歩きたいか、名前を呼び合った。
名前はお互い一つだった。
それからやっとのこと、僕たちは森を出ていることに気付いた。
その時は森の出口は見ていなかったけど
ほら、今も何かあの森の前に居るみたいだ。
今からまた君と恋をするんだ
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