ポヨンの大往生/atsuchan69
 
あれは大阪長居の安アパートに転がり込んできた僕みたいに
公園の木の上で啼いているのを 当時、純朴だった妻がみつけ
憐憫の情が働いたのかどうか 
拾ってきた、傷だらけの尻尾のちぎれた子猫だった

酷く間違いだらけの僕の記憶に因れば
アビシニアンの雑種だった、かな?

妻は子猫を「ポヨン と名づけた

或る夏の日、ミナミへ買い物に出かけたときだった
防犯のため閉めきった部屋のなかで
ポヨンは発狂し、部屋中を ぐちゃぐちゃにし、
挙句の果て 散乱した衣服の下に埋もれて
眠っているところを、帰宅した妻に踏まれ「フギャー! と啼いた

出血はなかったものの、
内臓破裂寸前か
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