【 羊水 】/豊嶋祐匠
 
  
  
  
  白が白じゃなくなる。
  
  黒が黒じゃなくなる。
  
  好きなものが妙に疑わしくなる。
  
  嫌いなものが少しだけ綺麗に見える。
  
  純粋が無意味に思える。
  
  優しさが嘘っぽく聞こえる。
  
  
  君が生きて来たこの20年とは
  
  きっと
  
  母の胎盤に包まれた世界と
  
  さほど変わらなかったかも知れない。
  
  
  羊水で満たしていた心は
  
  不安な空洞を見せ始める。
  
  
  手触りが変わり色が変わる。
  
  匂いも音も。
  
  
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