奏 者 - S p i e l e r -/李伍 翔
君と同じ舞台にさえ立っていなかったことに気付いたのは
あまりにも時が経ってからだった。
関わることで得ようとした絆は
糸のような細いもので繋がるもろいもので
何の役割も果たすことができずに
ただそこにあるだけ。
数を数え、
自らのエゴに苛まれ、
口をつぐむことで切れないように
微かなふるえも感じさせないように
大事に
大事にしまっておいたのだけれど…
舞台と客席よりも遠い距離に
途方に暮れて
泣き出しそうになっている僕は
やっぱり
君の隣りには居ることができないのだろう。
戻る 編 削 Point(0)