流砂の凍え/atsuchan69
透けたロータスピンクの窓掛けを揺らす風
冷たく浸透する異物に血が騒ぎ、
肉体の冴えわたる声がとめどなく乞う 「許し
すなわち、欲望の抑えきれぬ「素顔
東京から届いたメール
受信され、肌は ざわめき立つ。
「 」・・・・。
(薄い退紅の腐臭がビルの谷間を漂い、
前世紀を想わせる枯れた並木道の途中
街灯に照らされた「歪んだふたつの影が
つかの間、逢瀬のために重なり
たった今、スイートルームのバスタブで賑やかに )))
泡立つシャボンの虹色の油膜に映り、消えた。
やがて凍えるような星空にひびく 歌声
果てしなくつづく 砂の大地に染みる幻聴のアヴェ・マリア
その密かなる声に震えるのは、場所なき者の「漠たる褥(しとね)
――辿りついた涅色の果て
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