流砂の凍え/atsuchan69
残光に霞んだ視覚が荒い砂粒に吹き払われる
芥の幻が、埋没した歴史に今も残る「カタチ。
伽羅色に侵食された古代の町が 彼方に浮かぶ
鮮やかな猩々緋の空と砂のミラージュ
陽の沈まぬうちに 亜麻布に包まれた食料を取りだし
虚空に千切り渡す、サンギャーギとチーズ、
近づく闇の背後に いつしか
淡い追憶の匂いが静寂に紛れ、潜んでいた。
悪霊にとり憑かれた女と踊る 「焚き火の炎・・・・
(くれてやった。皇帝の胸飾りにも似た 涙の滴
それが新宿やら六本木の路上で安く売りとばされて
彼女は街を彷徨い、あてどなく夜に沈んでゆく
(使いまわした注射針のかがやきを闇に溶かして
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