月の半分/
終
月が消えていくのではない、影が増えていくだけ。
遠奥(とおおく)に聞こえるは影の音、追憶の揺れる影を探している。
ヒトツ見得るだけのこと、ヒトツ見得無くなるだけのこと。
微かに伏せる睫毛の先に架かる黒胡椒のような瞳の乾いた道筋を。
半分を憂うことは無く、半分を慈しむことは無く、私はひとつ。
闇夜、下弦を弾きながら。
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