桶狭間にて, 五十六人目の藤吉郎/do_pi_can
 

歴史はよぉ,こねーな乱暴狼藉が生み出すんでにゃーでよぉ

五十六人目と,自らをそう名乗る藤吉郎が言う
泥だらけの顔で,目だけをぎらぎらと血走らせ,
長い旗指物を持ってのそりと立つ
見渡す丘は,工場に家
空き地は,既に造成中
首の長い,どでかい機械が,
がっこんがっこん
地中に穴を開けている
五十六人目の藤吉郎が見る風景は
まさか,これではあるまい
そうならば,
このように冷静に立っていられるわけがない

ひでぇーもんだがや
至る所,死体だらけだでよぉ

なるほど,
やはり,私の見る風景とは違うようだ
彼が,ほれと指差す先には,
なんとも恥ずかしくて,と
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