砂丘の少年/
服部 剛
白昼の砂丘
( 少年が歩くほどに下りてくる
( 霞の幕の向こう側
(「少年」を脱いで孵化(ふか)したひとりの妖精
( 透明の翼を広げ
( 空へと飛翔してゆく
*
ウェイトレスが
お盆の上に湯気を昇らせ
夕食をこちらに運んで来る
この空腹は満たせても
止むことの無い
心の震え
瞳を閉じた暗闇に浮かぶ
妖精に孵化した
君の白い両手の蕾(つぼみ)
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