出張「幻視短歌」/右肩良久
 
 鮮血のアンダルシアの石畳首なき人の燻り立つ笑み
(せんけつのあんだるしあのいしだたみくびなきひとにくゆりたつゑみ)

<通釈>空を仰いで目を閉じると、強い太陽で真っ赤な闇が視界を覆う、夏のアンダルシア。その石畳の広場、首を落とされた男の体が鮮血を吹き上げながら、群衆の間をふらふらとさまよい歩いている。首がないため男が誰かすらわからないが、血煙がくゆり立つ中に男のにやにやとした笑いの表情だけが確かにうかがい知られるのだ。

 子規も写実もなんのその。この世にあり得ない風景を堂々と詠んで楽しむ幻視短歌、というジャンルを考えてみました。短歌に怪奇不可思議ファンタジーがあってもいいのではないか、と。サイトがありますのでよろしければ覗いてください。(http://www.lorikeet.info/tanka/


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