Non-sentimental journey/安部行人
書かれなかった言葉は不明のもの
開かれる無数のページのうえで
あらゆる思考はただそこにある
そのことはまったく変化しない
∴
わたしは確かに遠くにきたが
それはどこから見て遠いのか
遠く見えているが近いのか
わたしは見失いながら
あらゆる方角の意味を知った
わたしは奪いながら
あたらしい痛みを習得した
わたしは敗北し勝利した
わたしは消滅し生成した
わたしは無数の名前を持ち
輪郭のうちに交わらないまなざしを備える
分裂しているが根はひとつのもの
わたしは都市にすれ違う
わたしは原野にひとりで立つ
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