秋桜(こすもす)/銀猫
 
茜の風に肩を撫でられ
少し頬染め
薄紅色に髪が笑う

少女の儚い夢のように
秋桜揺れては
深い空に落ちてゆく

花びらが落ちた空には
ほんのり波紋のうろこ雲
今日が秋だと告げている


時折風にめくられる、
古い日付の日記には
いつかのきみの約束があり
ありふれた未来が
もう滲みのように色褪せて
読めない文字に変わっている
変わらぬものは
季節の巡り、巡り


秋桜群れて
夢を咲いて
空にゆっくり落ちてゆく

茜は
さや、むらさき
夜を怖がる子供に戻り
細い手を絡めて
 
 秋桜
  風に




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