駅までの道/山崎 風雅
 
 難しいことは考えない
 人は考えたくないから本を読む
 僕は本を読まない
 思春期に読んだ本は数知れないが
 相手を攻撃するだけ
 自分を守るためだけに本を読んでた

 言葉だけは覚えた
 読むことは悪いことばかりでもない
 でももう難しい本は読まない
 自分で考える
 
 そんなこと彼女に話しながら歩いた駅までの道
 金木犀の香りが漂っていた
 アスファルトに斑点ができ冷たい雨が落ちてきた
 終電にはまだ早く
 改札口でしばらく話した

 僕達は結婚するのだろうか?
 全世界に人は何人いるか知らないけれど
 あなたほど心を許せる人はいない
 でもあなた
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