独学の数学者また/佐々宝砂
たぶんヘンリー・カットナー(またはルイス・バジェット名義)が書いた古いSF短編だと思うのだけど、作者とタイトルは定かでない。むかーしのSFマガジンで読んだのだ。
その小説世界では、魔法がごく普通に行われていて、空中浮揚や念力は学校で教わるもの、出来が悪いと怒られる。怪しげなおまじないやお守りは、本当に役立つ便利な道具として使われている。魔法が発達しまくっているので、科学は発達していない。自動車はない。電話もない。というか移動や連絡を機械にやらせるという概念がない。魔法を使った方がはやいし楽だし普通なのだ。で、この世界のすみっこには、どうしても越えられない壁がある。空中浮揚でもだめ。空飛ぶ箒を
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