自戒/霜天
 
   失くしながら覚えた言葉。足りな
   いものを補いながら繋いだ寂しさ
   だから、朧、月夜には下る舟の切
   なさがあって、どうしようもなく
   なる。あなたの夜は越えますか。
   ここは、遥か日記の上。くたびれ
   た革の靴と、思い出の白い、剥が
   れかけたペンキの椅子を抱えて、
   どこまで行きますか、窓際はすぐ
   そこなのに。私は、止まる。誰か
   聞こえているならば。愛すれど、
   愛すれど不揃いの橋を越えて。追
   い掛ける影はまだそこにあります
   か。晴れ渡る空、秋晴れの日。十
   三日分夜を数えたら、そこから先
  
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