浄夜??遊戯する断片 デッサン/前田ふむふむ
 
       一

観葉樹が、かぜに揺れて、嬉しそうに笑いかける。
笑いは葉脈のなかに溶けて、
世界は無言劇に浸る。
映像のように流れる無言の織物。
かぜが、喜劇に飽きるまで、永遠を飽きるまで、
観葉樹は、笑いつづける。

朝の夕暮れのように、わたしの細い足跡は、
涙にまみれた。

   ・・・・・・・・・

わたしは、病室の片隅に、蹲り、
からだを震わせて泣いた。
霊安室の扉が開いて、小さな人形を運ぶ、
痛ましい親族の号哭が、わたしの血を貫いたのだ。
わたしは、生きている幸せを泣いたのだろうか。
疑問は、一瞬に、涙を枯らせた。

生ぬるいベッドが、待っ
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