空へ空へ。/渕崎。
世界は何でできているのだろう、とあの日晴天の空が見渡せる屋上で君は錆びかけたフェンス越しにどこか遠くを見ながら僕に問うた。
僕の答えは簡潔で、立った一言「知らない」と答えた。
君は疑問ばかりを口にして
僕を時々苛立たせた。狭い世界を抜け出して、広い世界を知ったばかりの幼児のように。
――世界は何でできているの?
――どうして赤信号は止まれのサイン?
――人間は何で生きているの?
――プリンに醤油をかけて混ぜたらウニの味って本当?
――僕らは何故生まれてきたの?
どうでもいいくだらない事から哲学じみたことまで、なんでも彼女はすぐに疑問を口にした。
わから
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