たそがれ駅十七時五分発/たもつ
 


頭の上に
鳥が卵を落としていった
やがて卵は孵り
駅が産まれた
列車が到着しても
人のざわめきもない
さびしい駅だった
かすかに潮の香りのする
海沿いの駅だった
その重さで首が少し
めりこんで痛い
夕方の太陽に
僕と駅の影が長く伸びて
またひとつ
言い訳が増えた



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