風、とまどう鳥よりも/たりぽん(大理 奔)
 
緩やかな曲率で
道は行き止まりまで続いていた
そこより遠い場所を
知らなかったので
墓標はその岬に、と決めていた

漁火の整列する底には
冷たい海流があって
行き止まりの
もっと向こうへと
世界を届かせる

渡り遅れた白い鳥が
見知らぬ季節にとまどい
暗い波を瞳に映しながら
花!、砂に咲く花のように
とても小さくうなづく

  それはゆうべの腕の中で

雨の生まれる場所の
雪の生まれる場所の
それよりあやふやな場所で
生まれる風、不確かな

行き止まりを
知らない世界に住む
風になれば
たどり着けるだろうか

  透明な居場所を告げる

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