石と旅する/吉田ぐんじょう
 

遠くどころか
わたしのかかと辺りに
さくっと着地しました


風が吹いてきました
野性的なにおいがしました
鞄が吹き飛ばされたので
わたしは手のひらに石を盛り
それを運ぶことにしたのです
何か持っていないと
不安なのです


眼が見えているうちは
何も終わりません
断続的ではありますが
続いているのです
未だ終わってはいないのです


さらさらかちかち
こんなにも零れ落ちるものを
わたしは何処に隠していたのか知らん







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