秋の夜の個体/
深月アヤ
カメオ細工の月
地平に凍てつく時
追って
捜して
ススキの陰に
今宵月光を見る
心と身体を射し貫く
秋の夜に
照らし出される白く長い道
命の儚さを
身を削り歌う虫たち
水に浸った草の原
風に運ばれる小さな声
けれど時に耳を占領する
自己主張
月もまた
十六夜にいびつに笑う
この胸に一つ月を貼りつける
感性だけの
秋の夜の個体
戻る
編
削
Point
(3)