秋の夜の個体/深月アヤ
 
カメオ細工の月

地平に凍てつく時

追って

捜して

ススキの陰に

今宵月光を見る

心と身体を射し貫く


秋の夜に

照らし出される白く長い道

命の儚さを

身を削り歌う虫たち

水に浸った草の原

風に運ばれる小さな声

けれど時に耳を占領する

自己主張


月もまた

十六夜にいびつに笑う

この胸に一つ月を貼りつける

感性だけの

秋の夜の個体
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