僕を訪ねて/
LUKE
昨日まで俺といた人間は
たしかに俺といた人間は
親しい人の心の中で一人
現実の雪崩にのまれた
彼を探しに行かなければ
俺という行方不明者を
俺という生き方を失した人間
信頼をなくす
過去をなくす
家族をなくす
言葉をなくす
透明な翼を羽ばたかす勇気などなく
目隠しを選んだけど
裏口を叩いては尋ね回る
あの声を聞くのだろうか
「僕は誰ですか?」
「僕を知ってますか?」
春は残酷な季節です
あきらめて口を閉ざせば
春はそこで終わるのに
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