「 苦悩 」/椎名
 
うそつき
うそつきと囁きながら
言葉が逃げてゆく

夜と朝の狭間で身悶えする
眠れぬ夜に熱るこころで

言葉が逃げてゆく
うそつきはだあれ
うそをついているのはだあれ

みんなほんと
みんな真実
ただ
きっと自分に嘘をついてる

ああ
ああ
恨めしいこのこころ
このからだ

夜にもひたれず
朝にも拒まれ
うそとほんとの狭間で
身悶えする

言葉に見捨てられ
眠りに突き放され
まるで
永遠にも思える
空間を彷徨いながら


戻る   Point(3)