亡骸/
松本 卓也
自宅まで百数歩
暗闇の下り坂
微かに浮かぶ星
見とれて躓き
踏み外した白線
揺れた夜の底に
踏み潰された猫
目を背けたとして
記憶も哀れみも
刻まれたのだから
水気を含む何か
踏んだ気がして
数メートルの夜
逃げ出したのは
死の音が聞こえたから
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