傷みやすい世界/加藤小判
 
赤ちゃんは
なにもかも食べられる

柔らかい皮膚に覆われた世界
賞味期限のある世界

その皮膚は傷み
少しずつ剥がされてゆく

火傷した空は潔く腐ってゆく

私達は
問いがそのまま答えとなり、
その答えがまた、新しい問いとなるような
円環を生きている

そう
私達は
傷みやすいナマモノ
食べられて排泄される
死んだ世界
生きてる世界

いま
どこかで
誰かが自殺しようとしている
答えのない問いを生きようとして
戻る   Point(0)