意志/アンテ
少女は部屋の四方の窓を全開にして
綱を握りしめて
鐘を力いっぱい打ち鳴らした
なぜだか判らないけれど
とにかく屋根には鐘があって
そして鳴らさずにはいられなかったのだ
鐘はボワァ〜ンと情けない音をたてた
急に叩き起こされたので
発声練習ができていなかったし
第一 彼女が鐘を鳴らすのは初めてだった
ボワァ〜ンだって!
少女はお腹をかかえて笑った
なんてわたしにお似合いの音色なんでしょう!
笑いすぎて
背中から順に身体がビリビリと破れた
皮を脱ぎ捨てて
彼女はそれを鐘の綱に結びつけた
鐘は必死に彼女を呼び止めようとしたが
名前すら知らないことに気づい
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