冬告鳥、海風に吹かれて/たりぽん(大理 奔)
 
告げるとも言わず
告げぬとも言わず
立ち尽くす老木は
潮風に白くやかれて
ただ待っているかのようです

運命とは渡り鳥でしょうか
暗い海のとぎれるもっと遠くから
糸車を回す母の手のように
やさしく絶え間なく繰り返す
それは渡り鳥でしょうか

宿命とは季節風でしょうか
思い出すこともない軽いものたちは
いつの間にか吹かれて
逆らうものだけが残される
その苦しさを宿すのでしょうか

  あの日、二人
  この防波堤の先っぽで
  雨雲の隙間、高層雲に映える
  白い渡り鳥を見ていたね
  風はしつこく誘ったけど
  僕たちは
  一緒にいる事が温かだった
[次のページ]
戻る   Point(15)