冬告鳥、海風に吹かれて/たりぽん(大理 奔)
告げるとも言わず
告げぬとも言わず
立ち尽くす老木は
潮風に白くやかれて
ただ待っているかのようです
運命とは渡り鳥でしょうか
暗い海のとぎれるもっと遠くから
糸車を回す母の手のように
やさしく絶え間なく繰り返す
それは渡り鳥でしょうか
宿命とは季節風でしょうか
思い出すこともない軽いものたちは
いつの間にか吹かれて
逆らうものだけが残される
その苦しさを宿すのでしょうか
あの日、二人
この防波堤の先っぽで
雨雲の隙間、高層雲に映える
白い渡り鳥を見ていたね
風はしつこく誘ったけど
僕たちは
一緒にいる事が温かだった
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