カタクチイワシの仔猫たち/
あおば
昔の人の住居跡
土の中から現れて
ミュージィシャンになり損ね
掻き鳴らすバラライカ
サンバのリズムに乗り損ね
ガラガラ声を張り上げて
カタクチイワシの骨拾う
遠い昔の貝塚に
月が差しますど真ん中
寂しい影の通り道
やさしい風が吹いている。
まんまる月夜の
太った鰯の通う道
仔猫の群れが集う道
セイタカノッポの赤ん坊
見てきたような顔をして
にこにこ笑って這って来て
世界のかたちを整えた。
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