詩と、海へ/umineko
 
れて、はじめて私に選択権が来る。当たり前だ。

思い出せ。私。失うのが怖いから、ためらった日のことを。なんのためにことばを閉じたのか。私のため?あなたのため?




世界で最も美しい恋愛は、おそらく心中です、と、誰かに聞いたことがある。

私は。詩と心中しない。同意のふりで、私だけが生き延びる。詩は、向こうの世界で涙を流すだろうか。私がそこにいないことを、悔やみ、また恨むだろうか。

詩はきっと私に言うだろう。考え過ぎだよ、ボクらはほら、こんなに仲良しじゃないか、って。

でも。私は知っている。
詩はほんとうに愛したものだけを受けとめる。私はただ、あなたの浅瀬で遊ぶ、幼児でしかない。

私は口惜しくて、泣く。詩はいつもやさしい。詩は、私を守ってくれる。それは私が悪いのだ。私に飛び込む勇気がないと、あなたはずっと気付いてる。

いつか。あなたが大人の私を、翻弄してくれますように。
私はそのとき、幸せだろうか。不幸だろうか。

あなたは静かに言うだろう。
さあ。
一緒にいきましょう。
 
 


戻る   Point(5)